…去る雲、おって(仮)…

DIY、感想文、日記。文章力上がったらいいなー。

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映画「おおかみこどもの雨と雪」感想-俺が怒れる一つの理由-

タマフルに送ろうとしないと感想書かないな。以下ほぼタマフルに送った感想。


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僕は細田監督作品の『時をかける少女』『サマーウォーズ』はベスト級ではないが楽しみながら見れた。それぐらいの思い入れだった、今までは。

宇多丸さん曰く「"現実に存在しない問題を問題化して悩む"ことはつまらない」らしい。
しかし、より重大な欺瞞は"現実にある問題の提起"に対して"現実にない問題解決"することだ。
僕はこれに対して怒りを覚え、不誠実さを感じる。
この問題に比べれば他の変なバランス、展開はさほど重大ではない。

映画を観終わっての最初の感想は"そこまで騒ぐほどではない映画"だった。
しかし、思考を深めていくと"そこまで騒ぐほどではない映画"ではないどころが、突出した不快感を感じる映画だと気付いた。

僕はこの映画の主題を"社会に承認されない不安を持つ子供"の物語と観た。
この"不安を持つ子供"を二つのスタンスで描いている。つまり"自己否定する子供"雪と"社会否定する子供"雨である。
二人に共通して言えることはプレ社会である小学校進学にあたり、スタンスが逆転していることである。小学校以前は、雨はおおかみである自己に肯定的であり、雨は否定的である。
これが小学校進学とともに、雪は否定的に、雨は肯定的になる。
この心理変化は僕の経験からも腑に落ちる。
子供時代が自己肯定と幸福がともにあり、その反動によってあるタイミングで強い自己否定になる。
僕はこのタイプであった。また逆も然りのなのであろう。

まず、雪について言及する。
雪はその自己否定する苦痛から何によって解放されるたのか。それは他者、社会(草平)からの承認を感じることであった。これも腑に落ちる。
ただ難を言えば、その解放が突発的すぎることである。もっと段階的に解放される方がより現実に即している。しかしこれは大した問題ではない。

つぎに、雨について言及する。
僕が怒りを覚える理由は彼の描写に尽きる。
雨は小学校になじめず、不登校気味になり、そして子供時代の社会の体現である小学校に否定的になる。
そして、非人間社会である森に自分の居場所を見つける。
このプロセスはわかる。
僕も中学校になじめず不登校がちになり、学校外部のスポーツジムに入り浸っていた。
しかし、ここからが決定的に現実とは違う、実在しえない問題解決で僕が不快に感じる部分である。
プレ社会である小学校からの(否定的な意味を含まない)逃避は実在しうるし、それは苦痛からの解放を与えてくれる。
しかし、その場所は一時的な場所であり、やはりまたプレ社会なのである。
いつかは自分を完全には承認してくれない社会に出ないといけないのである。
つまり、一時的な逃避にはなりえるが、根本的な解決には至らない。
しかしここでは森は、ただの非人間社会として映画の道具的に漠然としか描かれていない。
そもそも狼は群れを成す社会性の高い動物である。
そこには小学校同様にあらゆる問題があるはずだ。
雨が師匠に必死についていく描写は短く描かれるが、これは単なるエクスキューズにもならない程度である。
描くならもっと厳しい通過儀礼を描かないとならない。
日本では狼は絶滅してしまった。それなのに社会の問題の解決策としてそれを提示している。
これはそもそも日本における狼という設定が問題提起に対して失敗していると感じる。
この問題解決がこの作品の唯一にして最大の病理なのだ。
重大な社会的問題がハリー・ポッターなどの今流行りの、いつ能力を発現するか映画に似た問題に矮小化されている。
これはここではないどこかを求め、誰しもが天職があるといった妄想にも似ている。
現実の社会は緩やかに変化する連続体である。
劇中の"森"のような絶対的に自己を受け入れてくれる社会など存在しない。
それは幼児的幼稚な妄想であり、いわゆるBOL(ブスオーエル)映画にも似た気持ち悪さを感じる。

では誰に対して不誠実か。
それは"社会に不適合だと自己否定する人"全員にである。
ある程度の歳の方だったら、多かれ少なかれこういった悩みを経たんではなかろうか。
僕は比喩でなく死ぬほど悩んだ。そして、その解決にも長い時間がかかった。
監督は、"社会に不適合だという自己認識"の人に取材したのか。
したのなら彼らにこの解決法を本気で提示しているのか。
取材していないのならもっと問題でより不誠実だ。

この作品が感想が肯定否定と別れる要因は、人生観だろう。
この作品に上記のような不快感を感じない人は、対して悩まず対して起伏のない人生だったんだろうと思う。
それがいいか悪いかは別として。

実在の問題に、実在しうる解決法を提示する、つまり真面目に向き合う覚悟がないのなら最初から問題提起をするべきではなく、動きに裏打ちされたキャラの実在感といういわゆる純アニメ的快感を目指す娯楽作として振り切るべきである。
僕はこのような歪んだ思想がこもっている作品は、悩みを強化するようにしか機能しないため、過去の悩んでいた時期の自分には見せたくない。
宮崎駿や押井守は問題提起もするし実在する解決法を提示する。
しかし万人には受け入れないだろうがその方がよっぽど誠実であるし、それゆえに作品を見た後に思索をおのずと深める。
しかしこの作品は、シネマハスラーがなかったらここまで思索を掘り下げていなかったので、作品としてある程度そのもので完結するべき映画としも十分でない。
ゆえに細田守はポスト宮崎駿にはなりえない。

まとめると、細田監督には問題提起する映画よりも純アニメ的快感に振り切った映画を作ることがオススメです。
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感想書いてるとつい感情的になってしまう。SR3のときと同じように。
バリバリ否定的文章だけど、書き終わってみると、ほかの人がどう思うかわからんけど、僕の人生には特に何も影響しない映画なってのが正直な感想。たぶん能動的に再考することも、再見することはないだろう。
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